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膠原病とは

膠原病とは

膠原病とは膠原病とは免疫システムの異常によって引き起こされる疾患です。免疫の正常な働きは、外部のウイルスや細菌から体を守ることですが、何らかの理由で誤って自分の身体そのものを攻撃してしまうことがあります。
このような疾患を「自己免疫疾患」といい特に膠原病は様々な臓器障害を起こすものを言います。
膠原病には一つの病気の名前ではなく様々な病気がありますが、関節リウマチもその一つです。膠原病の症状としては長引く微熱、関節痛、筋肉痛、皮疹、手足の血流障害などが特徴です。進行すると、内臓を含む様々な臓器に合併症が起こり、重症化する場合もあります。

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膠原病を心配する一般的な症状

「自分は膠原病かもしれない」と気づく方は実際には多くありません。「膠原病」という言葉自体があまり知られていないこともありますが、膠原病に特有の症状というものが、そもそも明確ではないからです。体に不調をきたす疾患は様々あり、膠原病かどうかをご自身で判断するのは容易ではありません。
一般的な病気(感染症、生活習慣病など)では説明できない症状、データ異常がある場合疑うことになります。
以下は、膠原病内科を受診される方に、よく見られる症状をリストアップしたものです。
当てはまる症状がないかセルフチェックしてみてください。
長引く体の不調や検査などで膠原病が疑われる場合や、何らかの症状が気になる場合は、早期発見のためにも専門医の受診をおすすめします。

膠原病の原因

膠原病は、本来であれば体を守るはずの免疫機能が、何らかの原因で異常をきたし、自らの体を攻撃することで発症します。免疫系に異常が起こる原因は明確には解明されていませんが、ストレス、感染症や外傷などがきっかけになると考えられています。

膠原病の症状

発熱、倦怠感、体重減少などの一見軽い症状から、歩行障害、皮膚の硬化、筋力低下、レイノー現象(指先が白くなる)、心臓、腎臓、消化器などの重要臓器の機能低下など、膠原病の症状は多岐にわたります。

発熱、関節痛、筋肉痛、皮疹を起こす疾患

長引く発熱、関節痛、筋肉痛を起こす代表的な疾患は、以下のように大別されます。

  • 細菌やウイルスによる感染症
  • がん
  • 膠原病

上記が3大要因とされています。
加えて、ホルモン異常、薬の副作用、血栓症など、他にもいくつかの原因が考えられます。早期治療で治る疾患でも、放置すると重症化して様々な臓器に障害を及ぼすものがあり、その一つが膠原病です。
これらの疾患を見極めるためには、専門医による総合的な診療が必要です。

代表的な膠原病

全身性エリテマトーデス(SLE)

全身の倦怠感や発熱に加え、皮膚や関節の炎症など、全身に様々な症状が現れます。免疫異常のほか、遺伝や環境も発症の原因と考えられていますが、まだ明確な原因は特定されていません。若い女性の発症が目立ちます。長期にわたる治療が必要なため、国の指定難病に定められています。

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強皮症

皮膚が硬くなる疾患です。限局性強皮症と全身性強皮症の2種類があり、症状はそれぞれ異なります。強皮症の罹患率は女性(1:10)に多く、30~50歳代に多く発症します。間質性肺炎、逆流性食道炎、肺高血圧などの合併症を起こすことがあり、国の指定難病に定められています。

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皮膚筋炎・多発性筋炎

筋肉に炎症が起こり、倦怠感、疲労感、筋肉痛、食欲不振などの症状を引き起こす疾患です。その他の症状としては、筋力が低下する事による運動障害や、嚥下障害、呼吸困難などです。皮膚筋炎では、特徴的な皮疹が現れます。間質性肺炎と悪性腫瘍合併に宙を要します。

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混合性結合組織疾患

全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎の持つ特徴のうち、2つ以上の特徴が現れる疾患です。手足の血流が悪くなって皮膚が青白くなったり紫色になったりするレイノー現象や、ソーセージのように指や手が膨張したりするのが、この疾患の初期症状として多く見られます。進行すると、筋力や内蔵機能の低下、リンパ節の腫れ、関節の炎症などの症状が現れます。

シェーグレン症候群

涙や唾液を分泌する腺の炎症により、ドライアイやドライマウスなどの症状が現れます。いずれも軽視されがちな症状が多いのですが、進行すると角膜が傷ついたり、味覚障害が起こったりすることにも繋がります。稀ですが全身性の疾患としては、皮膚の赤い発疹、内臓の炎症、関節痛などが挙げられます。

血管炎症候群

その名の通り、血管に炎症を起こし、臓器の機能障害を起こす疾患です。症状の重さは炎症を起こした血管によって異なります。発熱、全身の倦怠感、体重減少などの軽い症状に加えて、皮膚に斑点やあざができたり、関節痛、心臓、腎臓、消化器官の機能が低下したりといった症状も見られます。

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リウマチ性多発筋痛症

50歳以上の方、特に高齢者に多い疾患です。名前は関節リウマチに似ていますが、関節リウマチと異なる疾患です。起床時の体のこわばりや、肩、足、腕に突然の痛みや発熱を引き起こします。なお、関節の変形はほとんど見られません。特徴的な検査異常はないため、高齢の方が突然、体が痛くなった場合に疑い、検査で他疾患を否定し診断になりますので当院含めた専門機関を受診ください。

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成人発症スティル病

発熱、リンパ節の腫れ、ピンク色の皮疹が生じますが、熱が下がると消えます。ウイルス感染や、関節リウマチと区別がつきにくい場合もあります。発症率は10万人あたり3~4人程度です。

ベーチェット疾患

口腔内に口内炎ができるアフタ性潰瘍(1)、皮疹などの皮膚症状(2)、目に異常が現れる眼症状(3)、性器周辺に潰瘍(4)が現れる外陰部潰瘍の1−4の4大病変が特徴の病気です。口内炎と陰部潰瘍と離れた部位での粘膜病変があれば疑います。原因は不明で、日本だけでなく韓国、中国、中東、地中海沿岸諸国でも発生することからシルクロード病とも呼ばれています。

膠原病の合併症

膠原病には様々な病名があり、合併症も疾患によって異なります。代表的なものには、間質性肺炎などの肺疾患、腎炎、神経炎、消化器疾患、皮膚炎などがあります。
膠原病の主症状に加え、これらの合併症が現れた場合には治療が必要になることもあります。また、疾患が長期的に安定している場合でも、合併症の有無を確認するためには、定期的な診察や検査が重要とされています。加えて、加齢に伴う一般的な合併症(生活習慣病、骨粗鬆症、悪性腫瘍)にも注意が必要です。

膠原病の検査

膠原病が疑われる場合、まずは問診と診察を行い、膠原病に特徴的な身体所見の異常がないか確認します。次に、免疫や炎症に関する項目を調べるために血液検査や尿検査を行い、内臓などの臓器障害を調べるためにレントゲン検査や超音波検査などの画像検査も行います。
これらの検査で診断された異常を総合的に分析し、国際的な各疾患の診断基準や分類基準に従って診断を行います。基準に当てはまらない場合でも診断になることがあり、不安がある場合は相談ください。
当院では、血液検査だけでなく、レントゲン検査や超音波検査などの画像検査も可能です。
CT、MRIは同フロアで施行可能です。PET検査が必要な場合には、近隣の医療機関と連携して精密検査を行います。また、入院精査・加療が必要な場合、適宜説明します。

膠原病のセルフチェック

  • 肩や関節、筋肉の痛みが長引いている
  • 起床時の体の痛み、こわばり
  • 皮膚の発赤、湿疹
  • 指先が青白くなったり、紫色になったりすることがある(レイノー現象)
  • 手指がソーセージのように腫れている
  • 微熱が長引いている
  • 慢性的な倦怠感
  • 検査や医療機関で膠原病の可能性があると指摘された
  • 膠原病の家族や血縁者がいる

 

膠原病の治療

主な治療法は内服薬の使用です。膠原病は免疫系の異常が原因であるため、免疫異常と炎症の両方を鎮める必要があります。処方薬には、免疫抑制作用と抗炎症作用を併せ持つステロイドや、免疫反応を抑える各種の免疫抑制剤があります。ステロイドは長期服用で、様々な障害を起こすため、可能な限り減らす、中止する方向にあります。
現状の薬物療法では、日常生活に支障を及ぼさない程度に良好な状態を保つことは可能です。そのために、専門医に定期的な受診が必要です。
薬の副作用に注意が集中しがちですが、膠原病の治療にはこれらステロイドや免疫抑制剤の使用が不可欠です。副作用を気にするあまり、自己判断で本当に必要な薬をやめてしまったために、もともとの疾患を悪化させ、重症化してしまった患者様も少なくありません。
疾患に対する効果と副作用のバランスを、患者様個人に合わせて調整する必要がありますので、専門的な診察の中で安全に調整されることをお勧めします。もし、現在の主治医の先生と話が噛み合わない場合、他の専門医の話を聞くこともお勧めします。

当院のセカンドオピニオン